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2006年3月11日 (土)

浅草 晴月

seigetsu 浅草といっても雷門、浅草寺、仲見世、人々が集まる賑やかな場所ではなく、靴問屋などがならぶ裏手に和菓子屋”晴月”はあります。

 店のある場所が、本当に分かり難い場所にあるため、何度も全国紙で紹介されても客の大半が地元の方という、地元密着の店です。なかには江戸っ子らしく”ひ”を”し”と発音する方が来店することは、珍しいことではありません。

 雑誌などでは”唐饅頭”と呼ばれる、どら焼きの皮にアンコを入れた、小さな今川焼き(大判焼き)のような形をしたお饅頭が紹介されることが多いのですが、季節感が感じられる四季折々の和菓子も販売しています。

 何度かお伺いしましたが、いつも変わらぬ味で私を楽しませてくれます。

 間違いのない味を提供して下さるのですが、それ以上に嬉しいのは御店主の人柄。
 色々な話を聞かせて頂いたなかで印象的だったのが1月31日に書いた”浅草散策”での江戸時代の歌舞伎三座の石碑と、61年前の1945年3月10日の東京大空襲の話です。
 子供の頃には戦争体験者の話をしてくれる方が沢山いましたが、なかなか聞くことは難しくなってきました。そのような時代に、ましてや東京大空襲の話を聞くことができたのはとても大きな経験になりました。
 空襲の時には逃げまどい、隅田川の河原の草むらで震えていたこと。浅草近辺の焼け跡の話などを聞きましたが、最も印象に残っているのは「空襲が終わった翌朝、浅草から上野の山が見えたんですよ」の一言です。
 空襲の悲惨さが、この一言でわかります。

 店主は単なる話し好きで、いつも話をしているようなことを私にしただけなのかもしれません。
 しかし、遠方から来た見ず知らずの若造にお茶を出して体と気持ちを休ませてくださり、戦争の話だけでなく様々な話をしてくれるといのは、見聞を広めること、物事を考える機会を与えてくれたのは、私にとってはこれ以上にない”もてなし”でした。

 この”もてなし”の気持ちが今でもあることが嬉しいと思うとともに、これがいつまでも続くような平和な世の中でいて欲しいと心から思います。

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